2020/1/20 運

昼前に荻窪で約束があり、

間に合うように準備していたつもりが、 新しいインターネット回線の接続に思ったより時間がかかり、予定の特急を逃してしまう。 あらら…と思って急ぎ駅につくと、自分が乗るはずだった電車が少し先の駅で、 人身事故を起こしていた。 振替輸送で、多くの人たちが波のように振り替えされていくのに紛れて 遠回りして30分遅刻で約束の場所についた。 ついてない。

というような、気持ちになってしまうのが怖い。 そんなふうに当たり前に人身事故をとらえてしまう感覚が。 予定の電車に乗れていたら、あたってしまっていた。 数年前、そういう電車に乗っていたことがある。 職場から、子どもが待つ家に急いでいた車内だった。

突然の衝撃に身の危険を感じて、冷や汗をかいた。20秒くらい揺れたまま電車が走り、止まった。事故だった。

窓という窓にブルーシートがかけられ、パンタグラフが外されたせいで電気が消された車内は、真夏だったからサウナのようだった。汗をかきながら、電話をして事情を話したり、あきらめたように本を読んだり、寝たりしながら、みんな淡々と、あきらめたようにときをまった。何事も感じないように。何事もなかったかのように電車が動きだすまで。 昨日ハンストをしてぷんぷんしていたけれど、

今日出かけた先で、なにかが怒り、もう子どもたちに会えなくなる可能性は、 きっと今のこの世の中にいて、そんなに小さな%じゃないだろう。


約束していた時間は、とても濃くて良い時間だった。 私の可能性を、自分以外の人が教えてくれることはたくさんある。 その人の可能性が、そこにあるのが私には見える。 行った先で、ペンが必要だったのに、隠し事をしているはずのわたしはペンを忘れて、

慌てて駅にある本屋で買ったらおつりが5円だった。 新しい年号になってから生み出された5円は、金ぴかに輝いていた。

思わず「きれいな五円ですね」というと、レジの女性もふと顔を上げて

「ほんとに」と笑った。


いつも運が、そこにある。 悪い運の先に、良い運が。良いも悪いもない運が。 生きつづけていさえすれば。 と、思いたい。

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© since2019 by Yasuko Tamaiko