古いパジャマ


昨晩、ナイター中継に夢中になってる息子の隣に座って、

古い息子のパジャマをウエスにしようと ハサミを取り出したら、息子が反応した。

「あ、それ僕の。まだ着られるよ」

「いやいや、これもう120だよ。あなた背は140cmあるし、服は150を着てるときもあるでしょ。

もう入らないよ。お別れだね。ずっと小さかったTちゃんを守ってくれてありがとう。ってお別れだよ〜。 はい、切りますよ〜。良いー?」

と、赤ちゃん口調で聞くと、息子は素直にうなづいてナイター観戦に戻った。

ジョキジョキジョキ。「はい、ありがとね〜」ジョキジョキジョキ。「もうTちゃんは大きくなったもんね〜」ジョキジョキジョキ。

ふと見ると目を真っ赤にしている息子がいる。

「え、どうしたの・・・」

と訊くやいなや、「うxえぇxエェぇ」と泣き出した。え、なに。。。

「さみしいよー。さみしいよー。お別れが嫌だよー」

え、なに?!

****

驚いたけど、ハッとした。

思えば息子は、季節の変わり目に衣替えをしたり、

新しい腹や靴を着るのが苦手だった。それはもう1歳の頃からずっとそう。

それだけじゃなくて、お気に入りの物や場所に対してはとてもこだわりを持つところがある。

ちょっと厄介なくらいに。

というふうに私はずっと彼のことを見ていて、

逆に人に対してはあまり共感性が強くないところがあるな、と思っていた。

人の気持ちを読み取るというのができなくないけど、

共感したり感情移入したりするのは好きじゃなさそう。

「ドラえもん」の原作漫画やテレビアニメは好きだけど、感動ものの映画版になると予告編だけで嫌がる。

絵本や物語より断然図鑑やメカ解説本が好き。

まあ、それはいわゆる「男の子っぽい」、ということなのかと思っていたのだけど、

私は、比較的・・・というかどっぷりと共感体質で、人の気持ち以外に興味があることがあまりない、というくらいの生き方をしてきたので、そういう彼の部分が少し物足りなく感じていたのは事実で。

でもジョキジョキ切られた古いパジャマの破片を抱きしめて、

大きくなってしまったことが悲しい、お別れするのが悲しい、いつかゴミに捨てるという行為が悲しいと

さめざめと泣く息子を見ていると、

対象物が物か人間か、というだけで、これが彼なりの世界の見方なのか! と深く感動してしまった。

結局、ウェスは、グローブの手入れ専用にして大事に使う、

そうすればパジャマも役に立ててきっと喜んでくれる、

ということで納得したのだけれど。

枕元に変わり果てた姿のパジャマの残骸を置いて、涙目で眠る息子を見ていて、

私はそんなふうに、物を大切に思ったことなんて、これまであっただろうか。と自問した。

いや、ない。即答で、ない。そんな自分がちょっと恥ずかしかった。

子どもはつくづく自分とは違うなあと思う。

そして違うその人に、教えてもらうことがたくさんある。


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